第50回「福島原発事故〈知らぬではすまない自衛のためのデータ集③〉、参考になるいくつかの数値」

●ICRP(国際放射線防護委員会)の放射線量の規制推奨値(mSv/y)(1年間のミリシーベルト)
◆一般人   
通常                            1
事故で放射線物質の放出が続く緊急時      20~100
事故収束期                        1~ 20
◆作業員                
通常                                                       100 
災害時                                                      500~1000   
日本では:福島第一原発事故に限り    250     
◆食品
通常    5
災害時  10

●放射線量(Sv)(シーベルト、ミリシーベルトではない点に注意)
◆広島原爆 爆心から400m  163.7
◆福島第一原発事故での最大推定放出量(2011.3.14)
1号機  162  
2号機  138  
3号機  167  

●強制移住
チェルノブイリ事故の場合、土地表面1平方メートル当たり148万Bq(ベクレル)で強制移住。ほぼ半径30kmの地域。
セシウム137の土壌での残存量 表面から深さ10cmまでに80%。

●原発事故の収束例 スリーマイル島メルトダウン事故(1976)(2号機96万kw 営業運転開始後わずか3カ月の新品) 
原子炉冷温停止まで          1か月
原子炉の蓋を開けるまで         5年
溶融燃料の取り出し開始まで      6年
溶融燃料取り出し終了まで(一部残) 10年
廃炉宣言                 14年後
スリーマイル炉は加圧水型(PWR)で、東電福島第一原発の沸騰水型(BWR)とは炉型は異なる。事故時、溶融燃料(デブリ)は原子炉(圧力容器)の底から3分の1近くを占めていたという。スリーマイル島の事故では、福島第一原発でのような水素爆発やチェルノブイリ事故のような水蒸気爆発などはなく、格納容器や建屋などの破壊はなかった。

●わが国 空間累積線量(mSv)(ミリシーベルト)
屋内退避      10(放射線量はコンクリート造10分の1、木造4分の1)
計画的避難   20
避難              50

●米国でのシュミレーション例によると、出力100万kwの原発事故で炉心がメルトダウン。大部分が水素爆発などによって放射能雲となった場合、8km地点での被曝量は、放射能雲より1200mSv、地表からの被曝(1日)400mSv、体内被曝(1ケ月)4800mSv(合計6500mSv)とみており、20kmではそれぞれ200、50、1100(計1350)であった。米国はこのような考えから、福島第一原発2号炉の炉心が100%損傷、16時間にわたって放射性物質が放出されるという最悪の仮定のもとに3月16日、在日米国人に対し半径50マイル(80km)外に避難するように勧告した(のち取消し)。

(多摩大学名誉教授 那野比古)