第7回「盛り上がりみせる『地域・市民ファンド』」
Wednesday August 12th, 2009
最近になって、地域の住民、市民が金を出し合って、ベンチャー企業、なかんずく環境関連ビジネスを応援しようという動きが高まっている。「地域・市民ファンド」である。
筆者も那野比古活動の一環として地方に出かける機会を多く持つが、最近になってこのようないわば“草の根ファンド”の状況を知りたいという声がしばしば寄せられる。ただ筆者の場合は、技術開発や製品化についての技術面での助言・支援が主で、このようなファンドの取材が目的ではない。しかし、これまで訪れた多くの地域でのメモを調べてみると、かなりのファンドが立ち上げられていることに驚く。
ファンドの形態も匿名組合からNPOとさまざまで、運用も、モチ屋はモチ屋とベンチャー・キャピタルに委託しているものや、地銀・信用組合など地方の金融機関が行うものまで様々。特に最近目立つのは風力発電がらみだ。風力発電機は遠くからでも認識でき、地域の環境に対する意識を象徴するものとして人気が高いようだ。これまで耳にしたファンドを列挙してみると、
○札幌ガイオテクノロジー、 ○北海道グリーン・ファンド、 ○市民風車ファンド石狩、 ○グリーンエネルギー青森、 ○市民風力発電所青森、 ○市民風車ファンド大間、 ○いわてベンチャー育成、 ○チャレンジ山形産業振興、 ○ソーシャルベンチャーパートナーズ東京、 ○えひめガイアファンド、 ○徳島市場創造、 ○オリーブ(香川、愛媛、岡山)、 ○TONYファンド(鳥取)、 ○みえ新産業創造
ちょっと挙げただけでもこのような始末。全国ではいかに多くの地域・市民ファンドが存在しているか予想に難くない。
これらのファンドの出資条件などは多様で、ベンチャー企業を創業したいとされる場合は、是非当該地での地域・市民ファンドを調べ、接触されることもお奨めしたい。
(多摩大学名誉教授 那野比古)