コラム -ドローン規制(2)-

ドローン規制(2)

理事長 

市川隆治

 

 

 今年(2017年)も4月19~21日に(一社)日本能率協会主催で開催された「第3回国際ドローン展」に参加するため、幕張メッセに赴いた。

 

 今回の特徴は、ドローンメーカーに混じってドローンパイロット育成スクールのブースがいくつか見られたことで、これはパイロット不足が課題とされるほどドローンの普及が進んでいることを示唆しており、昨年に比べ段階をひとつ越えたとの印象を持った。ちなみに、飛行時間が15分程度しかないドローンの弱点をカバーできるとする、ガソリンエンジン搭載の無人ヘリコプター(飛行時間約30分)の展示もあったが、操縦の難易度が極めて高くなるということであった。ドローンであれば初級編で3日間というコースもあった。

 

 もうひとつ目を引いたのは、飛行デモンストレーションを行った千葉大学発ベンチャーのACSL(日本語名は(株)自立制御システム研究所であるが、世界に羽ばたくために今後英語名を広めていくとのこと)である。

 

 ACSLは、GPSを使わずにレーザー等を使って自分の位置を推定し、障害物を回避して自律飛行ができるシステムを開発しているという。コンクリート・クラックのような床の汚れをレーザーで観測し、移動距離を測り、さらに気圧計で高さを推定するというようなシステムである。これが完成すればドローンはGPSの使える大空から地中に潜ることができると、CEOの野波先生の鼻息は荒い。下水道管でいえば東京都だけで50万キロの長さがあり、人が入れないところは全く点検がされていない状態だそうで、地中でもドローンの活躍が大いに期待されるということである。

 

 さて、本題のドローン規制については国土交通省航空局の安全企画課から説明があった。ちょうど2年前に総理官邸の屋上に不審なドローンが不時着してから一気に航空法改正が議論され、1年半前には改正法が施行された。詳しい内容は同省のホームページで確認していただきたいが、地表から150メートル以上の空域や人口集中地区上空等での飛行には許可が必要となるし、飛行方法についても、夜間や目視範囲内を超える場合、催し会場等の場合には承認が必要となる。既に1年間で1万件を超える許可・承認が出されたという。目的別では空撮が40%、測量が8%、インフラ点検が7%、農林水産が5%、その他に報道取材や趣味があるということである。

 

 許可・承認を受けた案件のドローンの機体メーカーについては、9割方が中国のDJI製とのことで、これは世界的にみても同社のシェアは6~7割なので、さもありなんという結果であるということである。

 

 同省では官民協議会も走らせ、空の産業革命に向けた環境整備を図っていくということで、民間の知見も活用しつつ、柔軟に、可能な限り迅速に、段階的にルール整備を行っていくとのことである。

 

 今回は総務省所管の無線システムについての説明はなかったが、高画質で長距離の映像伝送等の新たな電波利用ニーズへの対応を模索しているとのことであった。

 

 今後ますますドローンの産業用利用が広がっていくことが期待され、そのためには過度の規制が障害となるようなことは避けなければならず、官民協議会の活用という行政手法は非常に適しているものと評価できるのではないだろうか。また、国際的にも調和のとれた規制にしていくことが求められる。