第153回「無から有を生み出すBizモデル㉘‐ツイッターで怖いのはなりすましとスパムの横行」

 前回ツイッターがもつ双方向性のリアルタイム速報性というテレビを抜く性能について述べた。しばしばSNS(フェイスブックなどソーシャル・ネットワーキング・サービス)との差が議論されるが、これは明白で、SNSでは参加会員による加入への参同が必要なのに対し、ツイッターはまさにだれでも参加できる点が大きく異なる。

 

 誰をフォローしようと何をつぶやこうと勝手。仮名のユーザー名もOKと匿名も可能だが、アカウント名はついて回る。だがこのようなオープンな仕組みの場合、にせ者の出現もあり得ることが予想される。これは事実で有名人になりすますニセ者がツイッター上では跋扈している。有名人を検索してみるとなんとニセ者の多いことか。

 ツイッターの世界では、このニセ者の仮面をはがし多大な時間を費やして楽しむという怪しげなマニアまで出現している。当然スパムも横行する。

 

 ここでちょっと、ツイッターと既存のニュースや動画、静止画との連携について説明しておく必要がある。ツイッターでは最大140文字となっているので動画などとても載せることはできない。そこでツイッターは動画、静止画などのメール・アドレスURLを示し、ユーザーにはそこに改めてアクセスしてもらう仕組み。これでツイッター経由で動画をみることができる。では長いURLの場合はどうか。ツイッターの文字制限を超えてしまうと言った場合は、それなりにツイッター関連のアプリケーション・ソフト(ツイッターでは「クライアント」という)があり入手使用できる。

 ツイッターでは、公式サイト以外に存在するこの豊富なクライアントのために使い勝手が非常によくなっているのである。いまの場合はURL短縮機能という機能をもつクライアントを利用する。そうすると長大なURLも表示することができる。先にスパムも多いと書いたが、うっかり送られてきたリンクをクリックすると、それがとんでもないアダルト動画につながったと言った話は非常に多い。

 

 なりすましにしても、スパムにしても、なかなかいい出来となっており、本物の写真なども登場して外部から真偽を判断することはまったくできない。これがまたツイッターの大きな欠点となっているのは事実である。ついでながら、先のクライアントのほか、ツイッターでは面白いサイトも沢山ある。例えば、携帯からメール投稿とかスマホから動画投稿できるサイトも多くある。同時にその短縮URLとつぶやきも送信してくれる。

 テレビをみながらつぶやきができるものも登場している。またクライアント開発は新たなベンチャー企業の方向性を示すものとして大きな注目を浴びている。

 

(多摩大学名誉教授 那野比古)