第三部(参考)  II 資本政策に関する提言

2)) ストックオプションについては、既存株主の利益を害すると考えられており、付与対象者や付与枠共に制限がある。確かにストックオプションは権利を害し、報酬の側面 も強く経営陣が自分たちに対するお手盛りとなりかねない危険性ははらんでいる。しかし、そのために制約条件を大きくすることはストックオプションの持つ効用も減じられてしまうことになる。ストックオプションは将来の企業価値をキャッシュフローだと考えると、実は今現金で支給するのと同じかもしれない(割引率と税金の影響はある)が、ストックオプションで期待されているのは「現状のキャッシュを節約できる」ということではなく、付与して株主が失う機会コストよりも、付与して「やる気」を引き出して更に加える価値を大きいことを期待してのことである。現行では制約条件の「子会社の従業員・幹部にストックオプションが与えられない」とか「発行済株式数の 1/10では足りない」などをクリアするために、疑似ストックオプションを用いている。しかし、この新株引受権付社債は本来企業の資金調達メニューの一つとして開発されたものであって、本質的にこれをインセンティブとして用いることには不具合がある。特にベンチャー企業の資本政策においては、ファイナンスに関するコストは減らしたいし、従業員のより一層の活躍を期待し、かつ社外からの協力者の強いコミットメントも得られるストックオプションの導入なしには考えられない。

3)) 譲渡制限のある株式の第三者割当の新株発行については、商法280条の5ノ2で株主総会の特別決議が要求されている。一方、既存株主の保護の目的から株式会社は新株発行時に授権株式数内で行い、これを超えるときは決議により、授権枠を拡大しなければならない。しかし、上記の譲渡制限のある株式の第三者割当では既に、特別 決議を採っていることから別途の株主保護を図る必要はなく、この場合には授権枠の定めは解除してもよいと思われる。

4)) 総会招集手続きの簡便化
 公開準備中の会社では、株式の譲渡制限がなされていることが多いが、このような場合には、株主名簿の閉鎖期間を定めたり、基準日を設定する意味がないと思われる。実際のところ、名簿の閉鎖に関する公告を行う会社も少なく、招集通知の発送も形式的でファイナンスのプランニング段階で個別に折衝している。このような場合にも株主総会の招集手続きを形式的に順守して(約1ヵ月要する)いく必要性があるのか疑問がある。株主間の合意等により日程の短縮化が可能になるような明文化が望まれる。

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