第二部  XI 特徴のある会社実例

 ナスダックで公開した企業(9月時点)の公開までの平均年数は14.4年、最短はまぐクリックの1.0年。設立から公開までの所要年数は、マザーズよりもばらつきが見られる。公開までの道程が長かった従来は、ベンチャー企業の資金調達は、アーリーステージが公的資金、ミドルステージになると間接金融、レイトステージでベンチャーキャピタル(以下、VC)によることが多かった。

 VCがアーリーステージで出資をしなかったのは、公開までの所要年数が長いと資金回収に時間がかかるためであった。投資から公開までの期間が長くなればなるほど、公開可能性のリスクが大きくなる。セカンダリーセールなどによる資金回収もあるが、VCがIPOによる投資回収を望む場合、公開可能性リスクが投資リターンが得られないリスクとなるため、VCはアーリーステージのベンチャー企業への投資に消極的にならざるを得なかった。

 しかし前述のように、新市場の創設によってベンチャー企業の短期公開が可能となった。公開までの時間が短くなったことで、VCにとっては従来に比べて公開可能性の検討が容易になった。つまり、アーリーステージのベンチャー企業への投資回収が以前よりも容易になったと言える。このため、従来型の大手VCもアーリーステージの企業に積極的に投資するようになってきた。

 事業立ち上げ後、早い時期に大量の資金を得ることで成長スピードも速まり、早期公開が可能になるという好循環も生まれてきている。業界最大手のJAFCOでも投資先の60%がアーリーステージと言われているゆえんである。

 早期公開を望むアーリーステージのベンチャー企業にとって、VCから出資を募るほか、自社の事業内容に密接な関係を持つ事業会社と提携することも有力なオプションである。有力な事業会社とアライアンスを組むことができれば、マーケティング、開発、流通など事業面での協力を仰ぐことができる。場合によっては、アライアンス企業に出資してもらうことも可能であろう。有力企業との事業・資本提携による信用力向上は、VCからの出資にも有利に働く。

 ただし、アライアンス先の有力企業が出資に応じる場合は、通常は経営に参加することが出資の条件になるので、それを含めて出資を仰ぐことの可否を検討すべきである。

2. 事業会社とのアライアンスを活用した例
 ウェブ・ホスティング・サービスを提供している潟Nレイフィッシュの場合。

 設立後2年半たった1998年5月に光通信と業務提携関係を結んだ。光通信はクレイフィッシュの主要なサービス「ヒットメール」の販売開始当初から、販売取次代理店として販売取り次ぎ及びマーケティング業務を行い、クレイフィッシュの業績拡大に協力した。

 光通信との業務提携によりヒットメールの顧客数は飛躍的に伸び、設立後4.4年で株式公開に至った。公開直前期には光通信が50.1%の大株主となっていた。(直接所有割合49.6%。子会社「潟Rール・トゥ・ウェブ」を通じての所有0.5%も含む)。
有力な事業会社との業務及び資本の提携関係をうまく利用して成長した好事例といえよう。

 創業後4.4年でマザーズに公開したクレイフィッシュの資本推移は以下のとおり。

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