第二部  VIII 公開時の公募・売出に関する考え方

 このように、株式公開を公募でするのか、売出でするのかによって、@会社の資金調達額、Aオーナーなどのキャピタルゲインの額、B安定株主比率、C1株当り利益に伴う希薄化現象などが異なる。したがって、公募・売出のバランスを図ることが会社及びオーナーなどにとって重要なテーマとなる。

 公募と売出のバランスを考える場合に、各市場別に公募・売出に関する規制をクリアーすることが最優先される。新規公開会社の公募・売出については、株式の分布状況を適正なものとし、流通株の確保を行うために、東証マザーズについては1,000株以上(単位株制度適用の場合は1,000単位以上)の公募が要求されており、店頭市場、ナスダックジャパンなどその他の市場では最低公開株数の基準が定められている。

2.事業計画との関連
 資本政策の作成手順として、基本方針を決定することが最も重要であり、その最大のポイントは公開時期とその時点における利益水準をできる限り正確に予想することである。

 株式公開基準が緩和されたといっても、一般的な会社の場合にはある程度の利益が確保されていなければ株式公開自体が不可能で、仮に公開できたとしても、1株当り利益が極端に低い場合には公開時における適正な株価が形成されないことになる。もちろん、東証マザーズ銘柄の中には、赤字であっても将来性を期待されて高い株価を維持しているものもあるが、一般的な銘柄の場合には公開時における利益水準は重要なポイントとされる。。

 また、株式公開審査における事業計画のウエイトは非常に高まっており、いわゆる「Uの部」の記載対象として、今まで以上に重視されている。したがって、資本政策を当初の予定どおりに実施したとしても、最終的に利益計画が予定どおり進まず、思ったように利益が出ない場合には、たとえ株式公開できたとしても、予想外の低い株価となり、公開前に実施した資本政策により株主によっては思わぬ含み損を抱えることもあり得る。

 資本政策は公開前から公開後の利益水準をある程度予測して具体的なスキームを活用していることが多いので、その基本となる利益水準が大幅に乖離した場合には、資本政策そのものが意味をなさないばかりか、大きな弊害を被る可能性が大きいため、将来利益の予測にはより慎重な態度で臨むことが必要とされる。。

 特に、公開前後の資金調達を考えた場合、会社の事業計画、特に資金計画及び設備投資計画と連動したものでなければならない。この場合の資金計画及び設備投資計画はより具体的で堅実な計画としておく必要がある。いずれにしても、より具体的な資本政策を作成するためには、公開後の事業計画を含めて、最低限3年程度の積み上げ方式による事業計画を作成することが望まれる。

戻る 次へ