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第二部 VII ストックオプション(インセンティブ) |
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自己株式の取得がこのように厳格に規制されていたのは、自己株式の取得が発行した株式の自己による買い戻しであって、実質的に資本金払い戻しとなるために、商法上の大原則である資本充実原則にに反するという考え方に基づくものである。
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次に 2)) が問題となるのは、新株引受権を付与し、ストックオプション行使に対して新株を発行する方式(ワラント方式によるストックオプション)においてである。これは、権利付与対象者と権利付与額を決定し、株主総会で新株式の有利発行の決議を行う。株価が上昇すると、権利者の権利行使に応じて会社は新株を発行し、役員・従業員は取得した株式を市場で売却してキャピタルゲインを得る。
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この方式は、株価上昇後に株価上昇前の低い価額での発行を行うものであって、有利発行の形での特別決議を行っておくことが必要である、しかし、この時の商法ではAに記載のとおり有利発行の場合には株主総会の特別決議を必要とし、さらにその効力は6ヵ月までとなっていた。つまりこの方式は、株主総会の特別決議の必要性や決議の有効期間の問題等といった点が障壁となり、実現が困難となっていた。
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(また、従来の商法の規定では、新株引受権のみの発行が認められておらず、上述のような典型的なワラント方式の採用は不可能であったため、ワラント方式に準ずる方式が実施されたが、その場合でもAの制度がネックとなった)
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このように、新株の有利発行の決議の有効期間を厳しく制限したり、新株引受権のみの発行を認めなかった趣旨は、既存株主の保護にある。つまり、発行時の時価を下回る新株発行は、既存株主から当該新株の取得者への価値移転を生ぜしめることとなり、既存株主にとって不利となるためである。平成7年11月にベンチャー企業の育成を目的として、新規事業法が成立し、認定を受けた企業は、株主総会特別決議後10年間有効な新株発行請求権を取締役や使用人に対して付与することが可能となり、権利者は決議の日の2年後以降いつでも決議の日に定めた発行価額(決議の日の時価以上)で新株を取得できることとなり、日本ではじめてストックオプション制度の導入が図られたが、これも新規事業法認定企業という限られた範囲での運用にとどまっていた。
また、平成7年12月の大蔵省「証券分野の規制緩和等について」を受けて、日本証券業協会の自主規制である「登録前の第三者割当増資及び特別利害関係者等の株式移動に関する規定」(以下規定)の規制緩和が行われ一定の条件を満たせば、新株引受権付社債を用いた報酬制度の導入が認められ、いわゆる「成功報酬型ワラント」の規定が新たに設けられた。新規事業法認定企業でなくても一定の条件のもとでワラント債を利用したスキームによりストックオプション制度と実質的に同様の経済効果をもたらす報酬効果を設けることが可能となった。
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3.ストックオプションの内容
平成9年の商法改正(平成9年5月16日に参院本会議で可決成立)の内容は次の3点である。
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1))
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取締役または従業員に譲渡するための自己株式の取得(商法第210条の2の改正)
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2))
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取締役または従業員に対する新株引受権の付与(新設、商法第280条の19)
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3))
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自己株式の消却枠の設定(新設、新株の消却に関する商法の特例に関する法律)
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上記のうち 1)) は、平成6年の商法改正により、従業員に譲渡するために自己株式を取得することが認められていたものを、今回、譲渡対象として従業員を役員まで範囲を広げ、さらに従来の厳しい自己株式の保有期間制限や取得数量制限を緩和した。
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2)) は、今回新設されたワラント方式によるストックオプション制度であって、定款に定めがあり、正当な理由がある場合に、取締役または従業員に新株発行権を与えることができることになった。
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3)) は、ストックオプションの規定ではなく、自己株式を取得する点では@と同様だが、この規定は利益消却のための自己株式の取得のことで、それを機動的に行うために、定款への記載等一定要件の下で取締役会決議に基づいて自己株式の取得・消却を行うことができることとしたものである。
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以上より、この商法改正では、ストックオプションの方法として「自己株式方式」、「ワラント(新株引受権)方式」の二つの方法が認められることとなった。
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