| 第二部 |
第二部 VII ストックオプション(インセンティブ) |
| VII ストックオプション(インセンティブ) |
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1. 株式公開のメリット、デメリット
少し基本的な話になるが、株式を公開することによって、会社、従業員、そしてオーナーにとって様々なメリット、デメリットが生じる、その点について言及する。
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≪メリット≫
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1))
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信用力の増大により資金調達が容易になる(銀行借入)。
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2))
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公募による株式の時価発行増資や時価転換社債の発行ができるなど、多様な資金調達が可能となる。
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3))
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株式公開しているパブリックカンパニーということで、顧客や取引先、金融機関に対して信用力を強化できる。
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4))
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知名度や信用力の増大とともに、優秀な人材を幅広く確保できる。
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5))
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経営管理の組織化と内部管理体制の強化を図ることができる。
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6))
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周辺環境からの信用、また、公開に至るまでの内部牽制機能の構築により、社員個人のモラルが向上する。
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7))
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創業者利潤が実現できるとともに、事業継承対策の方法も多様化する。
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8))
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株式の流通性の増大に伴い従業員の資産形成の手段が得られる(ストックオプション制度の活用)
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≪デメリット≫
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1))
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多様な株主の参加により、株主総会対策が必要となる。
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2))
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一定の基準に従った企業内容の適時開示が義務づけられる。
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3))
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株式事務や経理事務の事務負担の増加。
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4))
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投機のターゲットや株式買い占めの対象になる危険性。
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このうち、メリットの 8)) に述べた従業員の資産形成の手段たるインセンティブプランとして一般的なものに従業員持株会がある。導入に当っては、持株会が必ずしも安定株主とはいえない面もあり割当株数及び持株比率の検討が必要になる。従業員持株会への株式割当価格については零細株主として配当還元価額(制限期間での割当は類似会社比準価額の70%以上)等の安い株価での割当が可能である。しかし、従業員持株会だけでは、業績と株価の連動による株価を意識した経営への変革には不十分であり、ストックオプションプランの導入が待たれていた。
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2. 商法改正によるストックオプション制度導入
平成9年5月16日の参院本会議で改正商法が可決成立し、ストックオプション制度が解禁となった。この解禁を受け、有力企業が数多く当該制度の導入に踏み切り、また、ベンチャー企業もこの制度を有力な人材確保の手段と考え、導入を積極的に行ってきている。日本の大企業からベンチャー企業まで、今後もこの制度に期待するところは非常に大きいと考えられる。
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ストックオプション制度とは、会社が取締役・従業員に対して将来においてあらかじめ定められた価格(行使価格)で自社の株式を購入することができる権利を付与する制度である。これにより、会社の業績向上による株価の上昇が、取締役・従業員の利益に直接結びつくことから、取締役・従業員の業績向上に対するインセンティブとして期待されている。 ところで、平成9年の商法改正までは、以下の2点により制度の導入が阻まれていた
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1))
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商法において、自己株式の取得が制限されていたこと。平成6年の商法改正により使用人に譲渡するための取得は認められていたが、その場合の要件として取得株式数が発行済株式数の3%以内、かつ取得から処分まで6ヵ月以内、さらに使用人への譲渡のみの限定的なものであったこと。
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2))
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商法において、株式発行時に時価を下回る価格での発行(有利発行)には、株主総会の特別決議を要し、その効力は6ヵ月までとなっていたこと。
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1)) が問題となるのは、自己株式の取得によってストックオプション行使により譲渡する株を準備する方式(自己株式によるストックオプション)についてである。自己株式方式は、会社が自己株式を取得し、役員・従業員に株式を購入する権利を付与するものである。株価が上昇すると、役員・従業員は権利行使士、会社は自己株式を役員・従業員に譲渡し、役員・従業員は取得した株式を市場で売却してキャピタルゲインを得る。これはアメリカで多く用いられていたが、日本の場合には自己株式の取得が@に記載のとおり厳格に規制されていたので、それがネックとなり実質的には実施不可能な状況となっていた。
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