第二部 第二部  III 株式数
III 株式数に関する考え方

 資本政策の基本方針が確定すると、公開時の株価と発行済株式数を想定することになり、公開株数を決定することが重要なポイントとなる。そのことを踏まえて、公開株数達成のためのさまざまな方策が実施される。

 基本的な資本政策作成手順においては、公開申請時の1株当り利益(EPS)と株価収益率(PER)との関係から、望ましい株式数は算定できるが、設立後間もないベンチャー企業が、例えばマザーズの公募基準1,000株基準を短期間でクリアーするには、ベンチャー経営者にとって非常に難しい問題がある。

 すなわち、マザーズの公募基準である1,000株(50,000円額面株式)を現実に公募する場合には、マザーズ銘柄としては公募の占めるロットが大きくなるため、公募前の発行済株式総数をかなり大きくしておかなければならなくなるのである。

 例えば、公開後の株式のうち10%から20%程度が株式市場で流通すると仮定した場合、公募株1,000株を含め2,000株程度が市場で流通すると仮定すれば、最低でも公募前で10,000株程度の株式を発行しておかないと、買占めなどによる経営権の侵害の可能性が高まることになる。もし、単純に10,000株の株式を発行すると仮定すると、額面株式で発行するとしても10,000株×50,000円=5億円の資金が必要となる。オーナー経営者が多額の資金を準備することは不可能であり、それほど多額の資金負担をしないで、オーナー経営者の持株比率を維持するためにはどうすればよいのか検討しておく必要がある。

 このように、公開時にどの程度まで株式数を増やした方がよいのか、マーケットで流通する株式の割合との関連で考えてみる必要がある。オーナーにとって持株比率にこだわらず、公募株数の公募後の株式数全体に占める割合が高くなり、買収対象とされることに対する違和感や不安を感じていない方も最近の傾向としてあるので、必ずしも公募前の株式数を高めることの重要性を強調しなくてもよいケースもあるが、一般的には、このようなリスクをオーナー経営者自身が十分に認識して、公募前の株式数の増加について考えておく必要があるかと思われる。

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