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長男の太介は理工系の一流大学を卒業後、パソコンメーカー・コネックスに勤務し、ノートブックパソコンの小型化のための基礎技術の開発に取り組んだ。太介がコネックスに就職するその前から、将来の社長の座は約束されており、この就職が単なる武者修行でしかないことは、本人はおろか、北川産業にいる季節工として雇われているパートの社員までもが理解していた。太介が30歳になったとき、父親である栄太氏は帝王学を学ばせるために、当時の前身の北川産業(現在の北川クリエイト)に技術担当の取締役として呼び戻した。太介は大方の予想通り、安定的な言動で万事に対応し、社内外から絶大なる信用を獲得しながら、カリスマオーナーである栄太氏のよき補佐役として順調に成長を遂げる北川クリエイトの副社長職を全うしていた。人間性と持って生まれた技術力は申し分ないものの、偉大な父親の陰に隠れてきた分、良きにつけ悪しきにつけ存在感を誇示するには至らなかった。
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