コラム-ポストコロナのNEW NORMAL-

ポストコロナのNEW NORMAL

-All Online Business Plan Contest-

 

理事長

市川 隆治

 

 新型コロナウイルス感染症が猛威を振るっている。この原稿を書いている5月20日現在、東京は緊急事態宣言下にある。私自身今年3月~10月に予定していたカナダ、米国、スペイン及び中国への出張がすべてキャンセルされた。3月のカナダ以外は現地のイベントや会議が中止されてしまった。4月末の米国出張では日本の高校生を連れてテネシー州ナッシュビルで開催されるDECA(高校生ビジネスリーダー育成機関)の国際大会ICDCに参加する予定であったが、米国におけるコロナの凄まじい蔓延を受けてまさかのICDC自体の中止となってしまった。昨年のフロリダ州オーランドにおけるICDCへの日本人高校生の初参加に続き、さらにグレードアップしたチームでの参戦を準備していたところにICDC中止の報が届き、関係者一同落胆したのは言うまでもない。(一社)カピオンエデュケーションズが毎年7月に和歌山で開催し、今年第5回目となるはずであったサマーキャンプ形式のGTEも中止の憂き目にあった。

 

 今後緊急事態宣言が解除されても元通りの社会にはなれないと言われている。社会的距離を保ちつつ手洗い、うがいを欠かさず最大限テレワークを活用しつつ、ハンコ文化も見直すと言う。そうした身近なところの変化のみならず、オンライン学習や9月入学の検討といった教育面、国と地方自治体の関係といった国の姿すら変わらざるを得ないのがポストコロナのNEW NORMALなのだろう。私は、かつて検討されていたコンパクトシティは密を助長するので見直しが必要であるし、東京一極集中を是正するために議論されてきた道州制や首都移転も再び議論の俎上に乗ってくるのではないかと考えている。

 

 そのような中、ビジネスプランコンテストのNEW NORMALとして、オールオンラインでの学習及びコンテストという試みがなされた。別紙スケジュールにあるように、4月18日から2週間でチーム編成からビジネスプラン作成までをこなした。メンターを務めたカピオンの曽我さんと能登さんによると、メンタリングの時間になるとひっきりなしにzoomに相談の申し込みが来て、席を離れられなかったということであった。

 

 私自身は5月2日のコンテストにおける審査員を務めさせていただいたが、当初オールオンラインという形式がNEW NORMALと考えていたが、ビジネスプランのなかみも多くのチームがコロナ関連であり、それ自体がコロナ以前には考えられなかったNEW NORMALになっていると感心した。さらに、もうひとつの特徴は、このイベントの運営が高校生を主体としてなされたということである。そもそも本家のDECA自体にも生徒会があり、ICDC当日の舞台上での司会は生徒会長さんをはじめとした執行部の面々が担っている。非常に目立つ役割であり立候補者は多く、選挙で決められるのであるが、まず地方大会での代表の座を獲得するために、地方大会当日には立候補者が会場の廊下にブースを構え、選挙権のある生徒たちに必死のアピールをしていた姿が思い出される。日本でも高校生を主体としたイベントの運営に一歩近づいたと言えるのではなかろうか。

 

 コンテスト後の生徒たちの感想を見てみると、

「ビジネスには前から興味があった・・・」

「ビジネスプランを作る楽しさを学べた・・・」

「普段では絶対できないような経験ができた・・・」

「普段触れないことを調べた・・・」

という感じで、生徒たちの新鮮でポジティブな感想が窺える。

 

 これこそ正に『君と世界はビジネスでつながっている』という小冊子で書いたように、「我が国の高校までの起業力教育環境を整備するべきである。」「そのために日本政府は欧米の起業力教育の実態を調査するべきである。」との緊急提言の必要性、さらには生徒たちの渇望を直に証明するものとなっている。米国、フランス、エストニア、EUといった欧米諸国の実態については私なりに現地に飛んで調査した内容を同小冊子に紹介しているので、是非ご一読願いたい。この調査がコロナ前に完結できたことは今から思えば誠に正解であった。

(表紙)君と世界はビジネスでつながっている

「君と世界はビジネスでつながっている」

 

 今後他の高校にもこの流れを広げていき、DECA JAPAN の輪を広げ、DECA/ICDCにたくさんの日本の高校生が参加し、ビジネスプラン作成の醍醐味を体験し、ひいては日本の起業文化が開花することを願って止まない。

(別紙)  麻布学園でのビジネスプランコンテスト参加者募集のフライヤー

麻布学園ビジネスプランコンテスト