コラム-社会的受容性および説明責任-

社会的受容性および説明責任

理事長

市川隆治

 

 この4月にAI・人工知能EXPO(リード エグジビション ジャパン 株式会社主催)、国際ドローン展(一般社団法人日本能率協会主催)、AI/SUM(日本経済新聞社主催)と立て続けに参加し、それぞれの最先端の状況について確認することができた。

 そこでこれまでは表に出てこなかったキーワードに「社会的受容性」があった。日本郵便が昨年11月から始めた、ドローンを使った郵便局間輸送でこのキーワードが使われた。ドローンが飛行するのは下図のように、福島県南相馬市の小高郵便局と同県双葉郡浪江町の浪江郵便局の間、約9kmで、2kg以内の荷物を積載したドローンが地上60m以下の高度を時速54km以下で1日最大2往復飛行するとのことだった。

 

ドローン飛行経路

 

今回の輸送においてはドローンの飛行に関する補助者は配置せず、目視外飛行の状態となり、日本で初めてその承認を当局から得たということである。

 このような社会実装に当たっては万一の事故に備え、飛行ルートの下に住む、もしくは飛んでいるドローンが目に入る住民に徹底して周知を図ることが必要であり、そのために50か所以上に立て看板を立てたとの説明があった。何しろドローンの定期便は初めてのことなので、場合によっては空を飛行する物体を見て恐怖を抱く住民がいるかも知れないわけで、そこまできめ細かく住民に配慮して初めて「社会的受容性」を獲得できたことになるのである。東日本大震災の復興もあり、ロボットとかドローンとかの先端的技術の受け入れが他の地域よりも進んでいると思われる福島県ですらそういう状況であることを改めて認識させられた。

 

 もうひとつこれまでになかったドローンの展示としては、通常見かける回転翼ドローンに対して一見小型飛行機の主翼だけのような固定翼ドローンである。スイス製ということであるが、固定翼の方がスピードも速く、航続時間も長いので、広い農場の農作物の撮影に適しているとのことであった。車輪はついていないので、飛ばすときは手で持って前に投げ出すような感じになるが、今後の展開が期待される。

 

 AIに関しての新たなキーワードは「説明責任」である。今後AIが社会実装されていく場合、AIの出した結論について、AIがそう言うからと、まるでブラックボックスのような扱いで説明しないわけにはいかない。AIがどうしてそのような結論を導いたかを説明できるように備えなければならないという指摘は尤もだと思える。

 

 全般的に米中の後塵を拝している日本であるが、日本の強みもあるとの指摘は心強かった。曰く、AIに仕事が奪われる恐怖のある欧米に対して日本は人手不足なので抵抗感が薄い。曰く、自動運転をやろうとしても、道路の白線すらしっかり見えない米国に対して日本は道路のインフラがしっかりしているので実験走行もやりやすい。曰く、AI人材は外国人が多いのに米国は移民問題で締め出そうとしており、日本にチャンスがある。米中はネット型AIは得意であるが、製造業の豊かな人材を有する日本は人間協調型AIに活路が見いだせる。

 

 いずれにしても人材育成は喫緊の課題であることは間違いない。

 

 もうひとつ、超高速、超低遅延、多数同時接続というすばらしい特徴をもつ5Gの今後の展開にも興味をそそられる。ちょうど昨年深圳を訪問した際、中国企業の5Gへの取り組みを展示場で垣間見たが、それがいよいよ社会実装されていくという興奮を覚えた。

 

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ドローン規制(1)(2016年04月27日)

ドローン規制(2)(2017年05月12日)