シリコンバレー通信 Vol. 19 「トランプショックに揺れるシリコンバレー」

シリコンバレー通信 Vol. 19 「トランプショックに揺れるシリコンバレー」

 

トランプ次期大統領が誕生してから既に1ヶ月近くが経った。

リベラル派が圧倒的に多いシリコンバレーは、開票直前までヒラリー圧勝ムードだったので、トランプ氏当選はまさに青天の霹靂で、しばらく混乱が続いた。一時はカルフォルニアを独立させよ、とBrexitをもじって「Calexit」を声高に叫ぶ人たちもいた。しかしここ数週間で動揺も鎮静してきたのを感じる。

 

「実は僕はトランプに投票したんだよね」

などとカミングアウトする人も周りにちらほら出始めてきて、ここシリコンバレーでも実は隠れトランプファンが身近にいることに気づかされる。

 

先行きはまだ不透明

トランプ氏が大統領に就任後、シリコンバレーにはどの様な影響がもたらされるかはまだはっきりしない部分が多いが、貿易、移民、サイバーセキュリティ、 再生可能エネルギーなどにおいて今後どのような変化がもたらされるかが注視されている。いまや米国のGDPの7%を占めるIT業界をむげにはできないはずだが、選挙期間中も驚くような言動を見せたトランプ氏のことだから何が起こるかわからない、という警戒モードだ。

 

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ピーター・ティール氏とトランプ氏(出所:Business Insider)

 

シリコンバレーの大企業のリーダーは選挙期間中は圧倒的にヒラリーを支持してきており、 トランプ派であった著名投資家のピーター・ティール氏が唯一トランプ氏との強固なパイプを持っている状況である。シリコンバレーの企業はティール氏を通して、またはそれ以外の手段でトランプ陣営とのコネクションを手探りしている様だ。果たしてシリコンバレーはオバマ政権の時のようにトランプ政権と良い建設的な関係を築いていくことができるのだろうか。しかし、それもここにきて不吉な様相を呈してきた。

 

シリコンバレーは仲間はずれ?

トランプ氏は12月初めに経済関連のアドバイスをするアドバイザリーグループを組成した。アドバイザリーグループには様々な業種の米国大企業の現・元CEOが名前を連ねた。例えばGEの元CEOであるジャックウェルチ、JP MorganのCEOであるジェイミー・ダイモンなど。IT業界からはたった1人、IBMのCEOであるジニー・ロメッティ氏が入っている。時価総額で全米1位と2位のアップル社やアルファベット社(グーグル)のCEOは参加していないだけでなくシリコンバレー本拠の企業は1社も挙がっていない。これは何とも違和感を覚えずにはいられない。

 

これまで、幾度となく、「シリコンバレーはバブルだ、そのうち弾ける」と言われてきたが、シリコンバレーの企業にとっては、いまやバブルがどうのこうのと話している余裕はない、これから来るべきトランプショックに備えねば、と身構えざるをえない状況だ。

 

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本コラムシリーズでは、シリコンバレーを本拠に、イノベーション事業化支援や新規事業の立ち上げを行っている筆者が、シリコンバレーの起業環境・スタートアップ関連の生の情報をレポートする。

 

(吉川 絵美)