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コラム -ドローン規制-

ドローン規制

理事長 

市川隆治

 

 4月20~22日に幕張メッセで開催された(一社)日本能率協会主催の「国際ドローン展」に足を運んでみた。会場にはドローンメーカーのブースのみならず、警備保障会社のドローンを活用した防犯システムのブースもあり、来場者で賑わっていた。実際にドローンを飛行させるデモンストレーションコーナーもあり、「ブーン」というドローン独特の飛行音で雰囲気を盛り上げていた。

 

 ドローンの弱点として風雨の影響と物資運搬手段とする場合の積載量の限界を考えていたが、最近のドローンは全天候型で、かつ、最大積載量30キロという大型機も登場し、空撮のもならず、水面に着水して水中撮影もできるものまであった。AIを活用すれば悪天候の中でも自ら判断して最適な飛行方法を見つけることができるという研究もなされている。ドローンメーカーからの相談を受け、ソリューションを提供するコンサルタント業務をこなす企業も既に出現しているということだ。

 

 ドローンは単に空中を飛ぶだけのものではなくなり、いかに産業用やインフラ点検用、災害調査用等として実社会に活用していくかという段階に入ってきている。

 

 ちょうど1年前、総理官邸の屋上に黒塗りのドローンが不時着して世間を騒がせたが、そういうことのないようにいかに規制をかけるのかも大きな課題である。会場では特別講演の中に国土交通省と総務省の担当課長による航空法及び電波法関係のドローン規制についての説明があった。特に前者については椅子が足らずに大勢の立ち見参加者が出るほどの関心の深さがあった。

 

 それぞれの規制の詳細は各省のホームページに譲るが、共通して感じられたのは、①リスクに応じた規制のかけ方を工夫すること(法律による許認可かガイドラインか業界の自主規制か等)、②関係省庁、メーカー、利用者等、幅広い構成員から成る官民協議会を立ち上げ、単に規制するだけではなく、新産業の創出や国民生活の質の向上という観点に配慮した進め方をしていること、③国際的なルールとの協調性を図っていることである。

 

 考えてみればこのような取り組み方法は、経済産業省が長年我が国の産業を育成していく際に実施してきたやり方である。国土交通省や総務省といった規制官庁がこのような方法論を取り始めたことは評価に値する。実は同じようなことが労働行政にも言える。数年前に職業安定局の派遣・有期労働対策部の中に民間人材サービス推進室が設けられたのである。これも規制一辺倒からいかに民間の人材サービス産業を育成していくかという全く新しい政策観点を取り入れたものである。もちろんこうした取り組みが成功するかどうかは何年か後に検証してみるしかないが、とにかく政策立案の方向性に変化が見られることに対しては評価したい。

 

 規制の国際協調も重要である。これからのベンチャーは国内市場だけを狙うのではなく最初からグローバル市場に打って出るborn globalという観点が必要であるとは最近日本のベンチャー関係の学者から出ている掛け声である。その際に国によって規制が異なるようでは困るのである。

 

 総理官邸の事件からわずか1年で関係省庁の取組がここまで進んできたのは大いに評価していいのではないだろうか。大地震に際して寸断された道路を尻目にドローンが必要物資を集積所から避難所に届けることができる日ももうすぐだ。