イスラエル通信 Vol.4 「相次ぐイスラエル関連イベントの開催 ―Web会議システム利用のリモートピッチ―」

イスラエル通信 Vol.4

「相次ぐイスラエル関連イベントの開催 ―Web会議システム利用のリモートピッチ― 」

                    一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター 業務部

 

 

1.日本においても存在感が高まりつつあるイスラエルのベンチャー企業   

 3月29日午後、ジャスダック市場に上場しているサン電子株式会社(注1)のイスラエル子会社 セレブライト社(注2)が、「iPhone」のロック解除に成功したとのニュースが伝わった(サン電子はノーコメント)。 それを受けて、29日の同社株は、制限値幅の上限(ストップ高水準)となる水準まで上昇。この日のジャスダック市場の売買代金ランキングで首位となった。    

(注1) サン電子株式会社:1971年に設立された愛知 県江南市に本社を置く電子機器メーカー。2004年にジャスダック上場、2007 年にイスラエルのベンチャー企業セレブライト社に出資。  

(注2) 「セレブライト社は、モバイルデータ(コンテンツ)トランスファー機器の開発・販売を目的に1999年に設立されたイスラエルのベンチャー企業。本社はイスラエルであるが、事業の主力は米国市場」 (4月9日付東洋経済オンライン

 

2.相次ぐイスラエル関連イベントの開催    

 斬新で高い技術力を誇るベンチャー企業を数多く輩出しているイスラエルに、今、熱い視線が注がれている。

 セレブライト社のニュースが市場を駆け巡った翌日の3月30日夜、東京・渋谷で「Pitch Tokyo -Israel Edition-#1」と銘打ったイスラエルのベンチャー企業との「リモートピッチ」(Web会議システムを介してのピッチ=後述3ご参照)が開催された。

  主催は、日本人起業家 寺田彼日氏 率いるAniwo株式会社(注3)。日本側の参加者は、VC・CVC関係者、大企業の新規事業・経営企画担当者、エンジェル投資家、起業家等を中心に約70名で、会場は略満席となり、改めてイスラエルへの関心の高さが伺われた。

(注3) Aniwo社は、イスラエルを拠点に、現地ベンチャー企業の発掘・AIを活用したデータベースの構築と、有力投資家・日本の大企業とのマッチングを行っているベンチャー企業。     

 

イスラエル図1

 

イスラエル図2

 

 続いて、4月8日には、デロイト トーマツ グループ(注4)とイスラエル大使館経済部との共催で、「イスラエル イノベーションフォーラム“Go Israel”」というセミナーが東京・丸の内で開催された。

(注4) デロイト トーマツ グループは、イスラエルにおいて日系企業のビジネスを 支援、なかでも日本の大企業とイスラエルのベンチャー企業間の事業提携支援を多く実施しているという。 また、イスラエルには、現地事務所Deloitte Israelが8拠点・1,000名超のスタッフを配置、日本と連携の上最適なサービス提供の体制を整えているとのこと。  

 

 セミナーには、大企業関係者(経営企画、事業開発、イノベーション推進、海外関係部門等)を中心に、約200名が参加とのことで、こちらも盛会であった。

 セミナーでは、①「イスラエル イノベーションエコシステムの概要と最新動向」「イスラエル企業とのオープンイノベーションにおける魅力とポイント」についての講演、②日本の民間企業、VC、官界関係者によるパネルディスカッション「日本企業がイスラエルのイノベーション力の取り込みを加速していくためには」に続き、③ユニークな発想と高い技術力を誇るイスラエルのIoT、サイバーセキュリティー関連のベンチャー企業によるプレゼンテーションと質疑が、Web会議システムを利用して行われた。

 この「リモートピッチ」は、日本時間の16時から17時半(現地時間で10時から11時半)にかけて繰り広げられた。日本側で同時通訳者を配しており、スムーズな進行への配慮がなされていた。

 

イスラエル図3

 

イスラエル図4

 

 

3.Web会議システムを利用した「リモートピッチ」への期待  ―空間を超えて―

 

 今回ご紹介した両イベントでは、Web会議システムを利用するリモートピッチ方式が採用された。 これまでもイスラエルとの数十名のリモートピッチは開催しているが、今回のように200名を超えるような大規模での開催は初めての試みであった。Webを利用する以上は、通信回線の影響を受けて、映像や音声が途切れるリスクがあるとの経験を踏まえ、今回は、映像はWebを利用し、音声は電話回線を使用することで、「臨場感」を損なわないよう工夫したとのこと(トーマツ ベンチャーサポート株式会社担当者)。

 Web会議システムなどのIT技術を駆使すれば、ピッチイベントは、必ずしも関係者全員が同じ場所に集まることなく開催できそうだ。

 

 日本とイスラエルの時差は、夏時間で-6時間(日本の16時はイスラエルの10時)、標準時で-7時間であり、時差がこの程度であることから、今回は、リモートピッチが可能となったとも言える。こう考えれば、日本と、アジア、ヨーロッパ諸国、米国西海岸間での、“空間を超えた”双方向のピッチイベントの開催は可能であろう。例えば、日本の朝10時はシリコンバレーでは前日の18時(夏時間)となり(下図)、相互に都合さえ付けば、開催できる。

 「省コスト」「省時間」のメリットがあるリモートピッチは面白い仕掛けではなかろうか。

 

  ただし米国東海岸と日本との時差は-13~-14時間(下図)あり、リモートピッチの開催は少々難しそうだ。

 空間は越えられても、残念ながら、時差の壁は越えられない。

 

<日本との時差>( )内は夏時間                       

 

韓国

中国、台湾、

シンガポール

インド

イスラエル

ドイツ、

フランス

イギリス

米国

(西海岸)

米国

(東海岸)

日本との時差→(単位:時間)

0

-1

-3.5

-7

(-6)

-8

(-7)

-9

(-8)

-17

(-16)

-14

(-13)

↓日本と各国との時刻の例

日本

韓国

中国、台湾、

シンガポール

インド

イスラエル

ドイツ、

フランス

イギリス

米国

(西海岸)

米国

(東海岸)

 4/1

10:00

4/1

10:00

4/1

9:00

4/1

6:30

4/1

4:00

4/1

3:00

4/1

2:00

3/31

18:00

3/31

21:00

4/1

16:00

4/1

16:00

4/1

15:00

4/1

12:30

4/1

10:00

4/1

9:00

4/1

8:00

4/1

0:00

4/1

3:00

 

                                           以上