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VECベンチャーニュース(平成27年第6号)-未来のロボット―

VECベンチャーニュース(平成27年第6号)-未来のロボット―


 理事長 市川隆治

 

“スマートコミュニティJapan 2015”における「見えてきた近未来のスマートコミュニティ×ロボット」の講演及びパネルディスカッションは、この分野で日本の第一人者が登壇し、大いに刺激を受けた。少し私見も交えて未来のロボット社会を垣間見ることとしたい。子供の頃のアニメにあったサイボーグやロボットがもうすぐ現実のものとなることを予感させるセッションであった。

 

1.ウェアラブルの次は?

 スマートウォッチに代表されるウェアラブルの次に来るものはインプランタブル、すなわち埋め込み型ということだ。完全な埋め込み型ではないが、涙を分析して血糖値を測定するスマートコンタクトレンズは既に実用化されているようだ。これが神経系統と結合し、さらにAIが人間の脳に置き換えることができる程度に高度になればサイボーグへと発展していく。
 また、そうなれば例えばバトラーサービス(執事サービス)が可能となる。間違った選択をしようとすると、バトラーがスマホに現れ、ご主人様にこちらの方がいいですよと助言してくれるというのだ。

 

2.ビッグデータ

 これまでワインの評価はソムリエの舌に頼り、主観的・定性的な評価がなされてきたが、ビッグデータを活用すると、土壌や天候、さらには微量な成分ごとの含有量等が客観的・定量的に示されてワインの優劣が決められることとなる。これまで定性的な表現で納得してきていたものが、定量的な評価の対象となってくるだろう。
 IoTで膨大なデバイスからの膨大なデータを処理するビッグデータに、機械学習が結合することにより、次世代のビッグデータとなる。機械が勝手に機械同士でネットワーク化して仕事を進めていくことになる。工場での生産性向上には最適であるが、万一そこでトラブルが発生したとき、人間の能力では理解できなくなっているので、誰がどう説明し、どのように責任を取ることにするのか、そもそも制御不能ではないかという議論がある。また、膨大なデバイスを動かす電池や電源の問題が出てくるだろう。

 

3.自動運転

 大型スーパーマーケットの広い駐車場では、店の入口で車を乗り捨て、スマホのボタンを押せば、車が勝手に空きスペースを見つけて駐車する。帰りも店の出口でボタンを押すだけで車がそこに現れるということになろう。
 さらに自動運転技術が発展すると、必要なときに車を呼べば使えるようになり、もう各自が車を所有する必要がなくなる。そうすれば今使われずに駐車場に置かれている車がすべてなくなり、土地利用にも影響が出てくる。道路では今ほど車間距離を取る必要がなくなり、渋滞も起きなくなるだろう。高速道路では連結して高速移動することになるのかも知れない。

 

4.法制度

 これまでの法制度はロボットの登場により、変更が必要となってくる。例えば、生身の人間の、生物としての生存本能を前提とした法制度は変えざるを得ないだろう。
 また、最近のドローン規制に見られるように、日本は先回りの心配をし過ぎてまずは禁止としてしまうが、それはやり過ぎ。かつて蒸気自動車の時代の19世紀にイギリスで赤旗法が施行された。蒸気自動車の55メートル前方で赤旗を持った係りを歩かせ、蒸気自動車が来ることを周知させるというものであるが、このような過剰な規制があったがために自動車の発展が独仏に後れを取ってしまったと言われている。

 

5.労働の世界

 米国では今後10~20年でこれまでの仕事の47%がロボットに置き換えられるという説がある。それには高度なホワイトカラーの仕事も含まれる。そのような中でTotal Talent Managementという考え方が出てきている。ある仕事をこなすのに従業員を雇うか、派遣労働者を使うか、ロボットを使うか、すべてのTalentをどのような割合で使うのが最適かをデザインするということである。
 また、ロボットが本当に中小企業の職場で人間と肩を並べて仕事をすることができるようになれば、派遣労働者はもはや人間である必要がなくなり、派遣ロボットになるのではないだろうか。