第156回「無から有を生み出すBizモデル㉛-氷河期を脱出、追い風の中のベンチャー起業」

 ベンチャー企業の起業・創業に待ちに待った追い風が吹き始めた。さらに先回報じたようにマイクロファイナンスもわが国で定着する兆しをみせ始めており、金融関連法が改正されれば、クラウド・ファンディングによる小口の応援型出資も可能となる方向にある。日本銀行(日銀)の債券買い上げなどによる市中への現金放出は、米国の景気向上と相まって、わが国の経済界に行け行けムードをかもし出している。

 

 ただ、供給された資金の使い道がなければ意味がない。日銀から得た資金によって金融機関が出資・融資を行い、企業活動を活性化させることによって初めて意味をなす。ということは、放出したカネの受け皿を用意する必要がある。

 ところで自民党政権になった2012年6月、中小企業庁から気骨のあるレポートが中小金融機関に対して打ち出された。この「小さな企業未来会議」は、改めてベンチャー支援の方向性を示したもので、起業・創業をキメ細かくサポートしているというもの。

 

 特に (1)世界市場への事業拡大を目指す起業・創業、(2) 個人や地域で開業する起業・創業、(3) 第二創業、といった3つがその目玉となっている。

 いずれも具体性が付与されているのが特徴で、スピンアウト(大企業を飛び出し起業)を支援する補助金の創設では、千件を目指すとされ、(2) では若者、特に女性起業者への補助金を創設、これも当面千件を見越している。

 

 自民党の安倍普三政権は本年4月19日、上記女性進出や再生医療を含めた成長戦略第1弾を発表しているが、5月17日にはさらに強力な第2弾が公表された。ベンチャー支援には3年間の集中投資促進機関を設定。個人の保証がなくても融資が可能な新枠創りのほか、先端企業には起業実証特例と呼ぶ規制緩和も考えられているという。そのための受け皿として、そこから創出された設備・製品を企業が気軽に導入できる新しいリース方式が推奨されており、先端技術加速のための市場が考慮されているのも特待的。

 地盤沈下の著しい農林業に対する第6次産業化施策については機会を見て取り上げることとする。

 

(多摩大学名誉教授 那野比古)