第125回「無から有を生み出すBizモデル③‐リース事業が後押し」

 グリーン・ファンド、ESCO事業と紹介してきたが、これらのビジネス・モデル、特にESCOが米国でスタートし、短期間で成功を収めることに至った裏には、リース業の存在を忘れてはならない。

 金融機関から融資が受けられないのであるならば、必要な物件を借りるしかない。必要な物件をESCO事業主に代わって購入し、それを事業主に貸し付けようというのがリースで、「物融」と呼ばれる所以である。言ってみれば一定期間、特定の資産(原資産)を対価と交換するわけである。

 ESCOなど事業主にとっては、初期にまとまった資金を用意する必要がないという利点があるばかりでなく、実は会計上、金融では得られない大変なメリットが存在する。それはリースで入手した物件は、かつてはオフ・バランス出来る点で、これにより企業を対外的に健全に見せることが可能となった。

 ここでついでながら、リース事業の中味を簡単に眺めておこう。リースには、金融色が強い「ファイナンス・リース」と、賃貸色の強い「オペレーティング・リース」の2つの形態がある。この2つの違いは、中途解約が可能かどうかという点で、ファイナンス・リースではそれが不可能であり、従ってリース物件は資産と見なされる可能性が強く、米国では最近は貸借対照表(バランス・シート B/S)に資産計上することが求められている。オンバランスである。

 一方、日本のようにリース期間終了後も物件が借主に売却されないのであれば、それは賃貸借と見なされ、バランス・シートに載せなくともよいという特例規定があった(2009年廃止)。

 一方、オペレーティング・リースは中途解約が可能で、期間終了後現在価格で物件を買い取ることも可能。リース料は初期の費用と終了後の現在価値の差分に対して設定され、1年毎の更新も可能。この場合重要なのは、物件の所有権がリース会社にあるという点で、従ってリース会社は物件に関する税金、保険料、減価償却費などは自己負担しなければならない。オペレーティング・リースでは物件は負債でありながら、借主側のバランス・シートに計上されず(オフ・バランス)、会計上企業価値を高めることが出来る。だが、オペレーティング・リースは簿外債務を助長するものとして非難の的となっており、新しい国際的新会計基準IFRSへの移行の際には、オペレーティング・リースのオンバランス化と共に、使用権モデルという概念を導入して2種のリースの区別を無くす方向を打ち出している。

 リースは、このように多額の債務を簿外に隠し、経営を健全に見せる効果があり、物件に対する初期の多額の投資不要と相まって、これまで資金不足の企業に多用された。特に新規事業に手を出すESCOなどに対しては金融機関の融資判断も厳しく、いきおい初期の資金調達手段としてリース業者の活用に目が向くことになった。

 かつて米国でもリースがオフ・バランスの隠れ蓑として活用された時期があり、初期のESCOなど新市場の開拓に向かう少資本で信用力の低い経営者にとっては救いの神でもあった。

※オペレーティング・リースでリース期間終了後の残存価値の算定に関しては、当該物件に関する中古市場が存在するのが理想的とされている。

(多摩大学名誉教授 那野比古)