第115回「日本再生クリエイティブを活かしたい―巨大除染ビジネス数十兆円市場」

 現在福島県では、環境省が主宰した22の除染実証事業が進められている。これは応募のあった295件の中から選ばれたもので、福島県田村市など11市町村では、国直轄の「除染特別地域」として除染を行うとしている。

 国が費用を負担し自治体が除染する「汚染状況重要調査地域」には、東北と関東8県104市町村が指定されている。

 目標は2014年3月末までに年間の被曝量20ミリシーベルト以下にすることで、これは住民帰還を可能とするレベル。すでに20ミリシーベルト以下の地域は年間1ミリシーベルト以下を狙うという。ただしこれは住宅などから20キロ圏内の話で、森林などを含めた残りの大部分は後回し。それでも40ミリシーベルトを超えた地域を短期間で20ミリシーベルト以下とするのは難しいと内閣府などはみている。ここでは「モデル事業」が使われる予定だが、ここにも独創的な方法でチャレンジする道が残されている。

 除染ビジネスは今後巨大な市場になることは確実で、これを見越した海外企業の動きを活性化している。環境省は2011~13年度で合計約1兆1000億円の除染費用を計上しているが、今後中間貯蔵施設を建設したり除染地域の拡大などによって、除染費用は数十兆円に達するものとみられている。

 原発関係では事故を起こした福島第1~4原発の廃炉費用として東京電力はとりあえず9000億円を計上しているが、除染は廃炉に劣らない費用を喰う。

 ここに目をつけたのが核関連専門の外国企業で、一方では福島で事故処理の実績を積みたいという狙いもある。核施設の解体や除染で多くの経験をもつ米CH2M-HLL社、放射性廃棄物の処分・管理に経験を持つ米ECC社、フランスの原子力大手アレバ社などが日本でのビジネス・パートナーを探しているという。この中でアレバは別で、すでに福島第一原発事故現場で同社の高濃度汚染水処理装置が使われている。

 これらは高度の汚染を受けている水についてだが、一方では福島県いわき市で河川水1リットル当たり放射性セシウムが不検出(数ベクレル以下)とされた用水路について、水を1ヵ月間1キログラムのセシウム吸着剤に通過させたころ、5400ベクレルの放射性セシウムが回収されたという報告がある。

 除染ビジネスには多くのベンチャー企業が手を挙げているが、この装置を開発したのは新潟のカサイ。セシウム除去にゼオライトは有効だが粉末状のため回収が難しい。カサイでは長岡技術科学大学などの協力を得て相転換法という方法で樹脂繊維の中にゼオライトの微粉を混ぜる技術を開発した。多孔質となっているのが特徴で、不検出の放射性セシウム汚染水から20万ベクレルまでの回収が河川や水路で可能で、すでに製品化されている。

 一方では、事故で出てきた汚染水や除染水の処理で発生する高濃度の放射性の残さを焼き固めてセメントのような固形物の中に放射性物質を閉じ込める方法も昭和電工などによって開発されている。残さとゼオライトとフェロシアン化物(これもセシウムなどの強力な吸着物)を高温で焼結、高圧でプレスして安定した固化材とする。水や土壌を除染した後に残る液状の残さは、放射性物質を吸着したものが沈澱、凝集されているため保管が難しい。これを固化・減量して管理を容易にしようというものだ。

 巨大な除染市場には様々な発想が持ち込まれようとしている。

(多摩大学名誉教授 那野比古)