第102回「フェイスブック上場に際し異例ともいえる問題が噴出相次ぐ③」

 今回のフェイスブックの上場に関しては、異例ともいえる問題点が相次いで発生。今後の健全なIPOにブレーキをかけるのではないかと懸念されており、一部については米証券取引委員会(SEC)が調査を開始しているという。

 まず第1は、上場の2日前、主幹事会社のモルガン・スタンレーが売出し株式数を25%上積みしたことである。

 フェイスブックの大株主はマイクロソフト、ゴールドマン・サックス、それに人気ロックバンドU2のボノ氏などだが、これら大株主の中から上場に合わせて持ち株を処分したいとの希望が多かったといわれる。

 第2は、上場前にモルガン・スタンレーが一部の顧客に対し、フェイスブックの売上げ予想を下方修正して伝えたといわれる問題である。

 第3は、上場直前に公募売出し価格を(20%も?)引き上げたといわれる問題である。これは本欄第100回でも述べたように米国の未公開企業に関するオーバーザカウンター株取引市場でフェイスブック株は高値44ドルで取引された実績があり、これが直前の価格引き上げに影響したのではないかとの見方がある(通常は30ドル以下が多かったといわれる)。

 そうなると、ブックビルディングなどが正確に反映されているのかといった疑念が生じてくる。

 第4は、肝心の上場初日のナスダックの株取引システムでのトラブルの発生である。フェイスブック株の売買注文が殺到、システムに異常が生じたといわれているが、これは今後の調査を待つほかはない。

 当日5月18日金曜日は、午前11時過ぎに取引が開始されることになっていた。ところが売買成立が通りにくい状態が発生、大幅遅れの11時30分過ぎにやっと初値がつく有様。その後もトレーダーに届く売買成立通知が数十分単位で遅れるというトラブルが続出したという。

 第5は、IPO当時の米証券市場の低速さ。ニューヨーク証券市場は6日連続、ナスダックも5日連続して値を下げる中で、フェイスブックの上場が低迷市場に活を入れる役割を期待した投資家も多かった。だが、上述のような問題点の噴出で期待は完全に裏切られてしまった。

 5月22日の終値は、公募売出し価格は前日比約9%(3ドル)安の31ドルジャスト。公募価格を何と7ドルも割ってしまった。

 CEOのザッカーバーグは5月14日で28歳。自らのフェイスブックに写真を公開、付き合っていた学友の中国系米国人の女性、プリシア・チャンさんとの結婚を明らかにした。同氏にとっては昨年11月カリフォルニア州メンロパークでの新本社の設立と相まって3重の喜びとなった。チャンさんはこの5月ハーバード大学大学院卒業を待ってのゴールインと言われているが、今回のフェイスブック上場劇で大金を手にしたのはザッカーバーグ氏だけではないかとの手厳しい批判もある。

 フェイスブックは昨年末で世界の233社をPMD(評定マーケッティング・デベロッパー)として認定。フェイスブックでビジネス展開する企業支援に本腰を入れ始めた。

 認定企業には広告、アプリ開発、インサイト(利用動向)分析、グループ化などに協力してもらい、企業の利用の拡大を図るというものだが、この成否が同社の今後を大きく左右すると注目するアナリストは多い。

(多摩大学名誉教授 那野比古)