第100回
「久しぶりの超大型案件「フェイスブック」が上場果たす①‐高すぎた公募売出し価格」

 最近はクラウド・ファウンディングなどコマゴマした出資話が氾濫している中で、久しぶりにオーソドックス(?)な超大型IPO(株式公開)案件が現れ、世界の話題をさらった。

 5月18日、米ナスダック市場に上場したSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)の雄、フェイスブックである。

 CEO(最高経営責任者)のマーク・ザッカーバーグさんが2003年、ハーバード大学の学生寮内で、口コミ・ネットワーク・サービスを始めたのがきっかけだ。03年といえば、あのグーグルがIPOを果たした年であり、起業わずか9年でのIPOとなった。03年には社名を現在のフェイスブックと変更し、口コミ利用可能な大学も800校以上に増えた。

 ザッカーバーグの口癖は「ハック」。ハッカーの語源として悪い印象を持つ言葉だが本来は、素早い実行を意味する。口コミは強い消費動向を動機付ける点で注目をされており、そのインフラとなる口コミ・ネットワークの構築には確かにハックさは欠かせない。

 その表れの一つが、07年に公開された「フェイスブック・プラットフォーム」。様々な外部のアプリケーションやウェブ・サイトとフェイスブックの連帯を強化、すべてのアプリとの連動を狙う意欲的なプロジェクトだ。

 そして翌08年には、先輩格の当時世界最大のSNS、マイスペースを追い抜いた。それ以降、マイスペースや同じフレンドスターといったSNSは没落の一途をたどっている。ネットワーク・ビジネスの怖さは、顧客がいとも簡単に他のネットへと移り替わることが出来ることで、マイスペースなどの没落がその実態を表している。この点は後で述べるが、フェイスブック自体の弱点でもあることを忘れてはならない。

 2011年の売上高は37億1100万ドル、利益7億5600万ドルとなっており、起業した年に上場したグーグルの307億500万ドルをはじめ、アマゾンの480億7700万ドル、巨人マイクロソフトの699億4300万ドルなどにはまだ1桁及ばないものの、フェイスブックの今後は、この差を詰めることが出来るか否かに係っている。

 ところで5月18日IPO当日には全発行株式の12%がナスダックに上場され、公募売出し株価は1株38ドルであった。

 初値はこれを11%上回る42.05ドルでスタート、最高値45ドルを記録しさい先はよかったが、あとは値を下げる方向に転じ、終値は公募価格0.6%高の38.23ドル。

 このところ新規上場の株価は公募価格を超えられないという悪夢がフェイスブックにもと予感させたが、週明けの5月21日には図らずもそれが現実となった。株価はあれよあれよという間に公募価格の38ドルを割り込み、幹事証券会社の必死の買い支えにも関わらず終値は先週末比4.2%安の34.03ドル、翌22日はさらに続落して終値は18%安の30.78ドルであった。

 上場前には、初日に公募価格の50%アップは確定などと一部で噂されていたフェイスブック株のIPOは惨たんたるものとなった。

 この公募売出し価格の38ドルについては次回触れるが高過ぎとの見方が多い。米国では証券会社のオーバーザカウンターによる未米上場株の取引市場があり、フェイスブック株は44ドルで取引されたケースがあり、これが高過ぎ公募価格の元になったとの説もある。

 フェイスブックの今後の動向、問題点については次回に触れる。

(多摩大学名誉教授 那野比古)