第1回 「EVが見せる自動車の進む道」

 昨年10月、生まれたてのEV(電気自動車)メーカーを訪ねた。株式会社EV-KIMOTO・LABORATORY。次世代産業のキーワードは環境と考えた代表の木本茂夫さんは大分文理大学教授を定年退職後、エネルギーの効率化とCO2減少を狙ってEV分野への進出を決めた。大学院での教え子3人が木本さんの夢を支える。

 まず手掛けたのは、市販の軽自動車のEV化。ガソリン・エンジンをそっくりモーターに置き換える。トランスミッションなどはそのままで、運転感覚はガソリン車とほとんど同じ。馬力を生み出す心臓部は中国製のLiポリマー・イオン電池。近々インバーター制御にしたいと意欲を燃す。

 中国といえば昨年9月、著名な米国の投資家ウォーレン・バフェト氏傘下のファンドが、中国・深?の電池メーカー、BYD(比亜迪、王伝福社長)に出資、株式の10%を取得したことで注目を集めた。BYDは自社の優れた電池技術をベースに自動車産業への本格進出を目論んでおり、EV第1弾「E6」を本年にも中国で発売する予定だ。

 EVとガソリン車の総合エネルギー効率を比較すると、慶応大学清水浩教授の試算によれば、EV35%に対してガソリン車はわずか8.6%(石油のエネルギーを100)。この違いは、今後自動車が進むべき方向を示唆する。しかも、EVは、従来のガソリン車と比べて参入障壁が低い。電池、モーター、インバーターなどを入手することによって、ベンチャー企業も進出が可能だ。いずれも従来の自動車メーカーは弱いものばかり。

 自動車の製品構造の一変が予想される今後は、技術と資金力をもつベンチャーの絶好のチャンスでもある。

(多摩大学名誉教授 那野比古)